ヒアルロン酸の作用
1934年に米国のコロンビア大学教授であるKarl Mayer博士が、牛の眼の硝子体から分離させたのが始まりです。名前は、ギリシャ語のHyaloid(硝子体)と多糖体の構造単位であるUronic acid(ウロン酸)から、Hialuronic Acid(ヒアルロン酸)と命名されました。その後の研究から、人間の体内では、皮膚、眼、関節、脳、心臓などさまざまな部位に、このヒアルロン酸が存在していることが分かり、保水・保湿にはかかせない成分とされています。
国内で医薬品として使用され始めたのは1987年からで、最初は変形性膝関節症の治療薬として販売されました。80年代にヒアルロン酸を化粧品に用いる研究が始まっています。現在では、変形性膝関節症、肩関節周囲炎への治療のほか、眼科や外科、化粧品や健康食品など幅広く利用されています。
ヒアルロン酸は1gあたり約6000mlの水分を保持する能力があり、70兆といわれる細胞間の体液を構成する主役です。その保水能力は驚異的といわれています。ヒアルロン酸は体内の大部分に存在しており、酸素や栄養を運んだり、あるいは老廃物を除去したり、人間が生きていくうえでは欠かせない物質です。皮膚や関節、硝子体などに含まれ、水分を保ったり、緩衝作用として働いたり、組織形状の維持をしたりと、さまざまな働きをします。加齢とともに、お肌のハリがなくなったり、関節が痛くなったりするのはヒアルロン酸が不足しているからなのです。ヒアルロン酸をサプリメントなどで補給するアンチエイジング対策が昨今注目されています。
また近年の研究で、ヒアルロン酸と老化は大きな関わりがあることがわかってきました。ヒアルロン酸が細胞を活性化して、肌だけでなく老化による病気などにも効果があるのです。老化の原因活性酸素です。ヒアルロン酸は細胞の周りに存在し、体に必要な栄養分を供給し、活性酸素を除去する働きもあります。また、ヒアルロン酸の特徴でもある保水性によって血管をしなやかにし、病気を防ぐ役割も果たします。ヒアルロン酸の長期摂取が長生きの秘訣でもあるのです。
ところが、赤ちゃんや子供の頃に十分にあったヒアルロン酸も、20歳以上になると体内のヒアルロン酸量は子供の3割から5割程度しかなくなるといわれています。特に皮膚におけるヒアルロン酸量は子供の時の20分の1にまで減るともいわれており、ヒアルロン酸が減少してしまうと水分も同様に減少し、カサカサの角質となって表皮に現れてきます。まずは、ヒアルロン酸を充分に摂取するように努め、水分をたっぷり含んだ皮膚細胞を形成することで、角質のターンオーバーを正常化させることが必要です。
ヒアルロン酸は鶏のとさかやフカヒレにとても多く含まれますが、脊椎動物や植物、甲殻類、昆虫などにはありません。 しかも大変熱に弱く、40度くらいで殺菌しないと破壊されてしまいます。しかし、低音殺菌はとても難しい上、とさかやフカヒレを毎日食べる機会もあまりないので、一般的には食物からヒアルロン酸を摂取するのは非常にむずかしいとされています。
また、ヒアルロン酸化粧品を肌にぬっても、表皮のみの潤いを保つだけで、ほんとうに届いてほしい真皮まではなかなか浸透しません。やはり、ヒアルロン酸はサプリメントで内側から補給することが一番効果的といわれています。